環境への配慮を理由にヴィーガンを選択する「エンバイロメンタルヴィーガン」が増えているといいます。動物性食品を摂らない生活は、動物を搾取しないだけでなく、畜産業による環境破壊を減らすことにも繋がると言われており、ヴィーガン人口が増えていることは世界的に危機意識が高まっていることの現れかもしれません。
地球温暖化問題の専門機関である気象庁「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」の報告によると、このまま地球温暖化が進めば、2100年頃までには、地球の温度は、1.1~6.4℃上昇、海面については、18~59センチ上昇するそうです。この数値の意味、氷河の減少や異常気象が、私達にどんな被害を及ぼすのでしょうか。今回は、ヴィーガンも関心が強い環境問題にスポットをあてます。
【目次】
地球温暖化とは
そもそも地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素やメタンガス、フロンガスなどの「温室効果ガス」が増えすぎて、宇宙に逃げようとしていた熱が地表にたまりすぎてしまったために、地球全体の気候バランスが崩れる現象を指します。
温室効果ガス自体は、地球を暖かく保つ役割を果たし、生きものが住みやすい環境を作ります。地球にとってなくてはならないガスですが、急速に増加したことが地球温暖化の原因といわれています。
ヴィーガンが環境保全につながる理由
動物性食品は、植物性食品よりも多くの土地と水を使用し、製造過程でより多くの温室効果ガスを排出します。
2022年2月1日、カリフォルニア大学バークレー校のEisen教授とインポッシブルフーズのBrown社長は、段階的に畜産を廃止した場合、地球の温暖化効果は約30年間安定化し、今世紀中、世界の温室効果ガスの排出量を68%削減することと同等の効果があると発表しました。
つまり、動物性食品を一切口にしないヴィーガンの選択は、温室効果ガスを抑制することに貢献するというわけです。
参照:アニマルライツセンター/畜産を段階的に減らすことは温室効果ガスの68%を削減/https://www.hopeforanimals.org/environment/livestock-ghg-2022/
地球環境問題
北極の氷が溶けている、というニュース映像をよく見かけますね。これは気候の年間変動と、人間の活動が原因で起こる大気中の二酸化炭素濃度の増加による温暖化が関係しています。
北極問題
実は、北極海の海水は、専門家の予測を上回るペースで減少しつつあります。特に夏季の海氷面積は過去35 年間で約3分の2程度まで減少。このまま地球温暖化が加速した場合、今世紀半ばまでには、夏季の北極海の海氷がほぼ消失する可能性が高いと予測されています。こうした北極環境の急速な変化を背景に、北極に対する国際的な関心が高まっています。
海面問題
北極における環境変化は、地域にとどまりません。北極海における開放水面の拡大により、太陽光の吸収量が増加し、地球温暖化を強く増幅させることが判明しています。北極の気候変動の影響を受けやすい地理的位置にある日本やアジアにとっても、北極政策は重要な政策課題。
さらに、経済活動の拡大により、船舶からの汚染物質の流出・排出の増加や、汚染物質の大気への影響、開発に伴う汚染なども指摘されており、有効な対策を検討することが国際社会の新たな課題となっています。
参照:
総合海洋政策本部/我が国の北極政策/
内閣府/北極政策/
温室効果ガスは、なぜ増え続けるのか?
家電製品や自動車など便利なものを利用すればするほど、地球上には大量の二酸化炭素が排出されることになり、地球温暖化を加速させています。エアコンや冷蔵庫のフロン、生ゴミや水田、牛のゲップから出るメタンなども、温暖化の原因となる温室効果ガス。
さらに、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出してくれる熱帯雨林などの森林は、農地の拡大などにより伐採され、失われています。森林が減少したことによって、森林からの二酸化炭素の吸収量が減少してしまったことも、温室効果ガスが増え続けている原因です。
参照:東京都環境局/温室効果ガスはなぜ増える?https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/kids/climate/global_climate/why.html
地球温暖化とヴィーガン
森林伐採
世界の森林は年々減少・劣化しています。例えば、多様な生物の宝庫である熱帯林は、毎年、北海道の面積の77%にあたる600万ヘクタールの速さで減少し、熱帯林にすむ動植物は毎日100種が消失していると言われています。
参照:
森林と生きる~世界の森林を守るため、いま、私たちにできること~https://www.env.go.jp/nature/shinrin/download/forest_pamph_2016.pdf
ヴィーガンで懸念される環境問題
近年、畜産による地球温暖化を危惧し、ヴィーガンの重要性が注目されていますが、一方でヴィーガンによる新たな環境問題も懸念されています。サスティナブル(持続可能)な社会を目指して肉を食べる生活を避けたはずが、結局は別の形で環境問題を生むのではないかという指摘です。
例えば、肉や乳製品の代わりに、代替食品の需要が高まり大豆の消費量が増えれば、大豆を育てるためのより広大な農地が必要となり、森林伐採をおこなう原因となり得ます。菜食主義の人が増えた場合でも、森林伐採は続くと懸念されています。
農林水産省の発表によると、日本の大豆の自給率は7%、小麦の自給率は約12%です(平成29年度データ)。今後、大豆や小麦の需要が高まれば、さらに輸入量が増え、輸送によってより多くのCO2が排出されれば、地球温暖化が加速します。
菜食が増え、病気や害虫に強い作物を育てるため、今以上に多く農薬が散布されることも危惧されています。
国の対策
農林水産省が策定した、2050年までに達成を目指す「みどりの食料システム戦略」の中には、CO2削減や食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立に向けて、具体的な目標が掲げられています。
・農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
ゼロエミッション化とは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量をゼロにするための取り組み。農作物の輸送など、農業や水産業にて排出されるCO2を大幅に削減することを目指しています。
・化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減
農薬については、リスクの低い農薬への転換や従来使っている殺虫剤に代わる新規農薬の開発によって、化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減させることを掲げています。
ほかにも、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減させるなどの内容が盛り込まれ、持続可能な食料システムの構築に向けた取り組みがおこなわれています。
私たちヴィーガンにできることは、なんでしょうか。
「ヴィーガン」を選択するだけではなく、生産段階まで追求した購買行動が重要だといわれます。具体的には、「どのようなルートで作られた食品かを知ること」「できるだけ地産地消のものを選ぶこと」「有機JASマークを目印にオーガニック食材を選ぶこと」などから始めてみてはどうでしょうか。
参照:
BBC NEWS/【COP26】 森林破壊を2030年までに終わらせると100カ国超が署名/
農林水産省/食糧自給率/
農林水産省/みどりの食料システム戦略の策定について/https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/210512.html
まとめ
私たちは100年後の子供たちにどんな世界を残せるでしょうか。
人間の活動によって、大量の温室効果ガスが大気中に放出され、地球の気温が上昇し、自然界のバランスを崩しています。このままのスピードで温室効果ガスが増え続け、気温が上昇すれば、地球環境が悪化し、私たちの生活や健康に大きな被害がもたらされることになります。
私たち一人一人が省エネや節水を心がけ、移動は可能な限り車に頼らず、プラスティックごみを出さないためのマイバックを持つこと。植物を育てることで、ヒートアイランド現象を緩和するなど、身近な努力が地球温暖化を加速させないことに繋がります。
日々の賢い選択が、いま、私たち消費者に求められています。
1週間に1日だけでも気軽にヴィーガン食を始めてみるのもひとつの手です。
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